道徳授業公開講演会(声優 金光宣明)
① 声優という仕事との出会い
今、声優という仕事は注目され、キラキラした表舞台となっていますが、本来は、表にはあまり出ない、声を武器とした職業です。
僕が声優という仕事に興味をもったきっかけは、皆さんと同じ小学校5年生の時でした。当時、寂しいことや嫌なことがあって悩んでいた時、キン肉マンというアニメを見て、勇気をもらい、それ以来アニメが好きになりました。その時、キン肉マンの声を担当していた神谷明さんが、他にもいろいろな役で活躍されていることを知り、声優という仕事に興味をもち、やがて声優になるのが夢になりました。
② 中学時代
ところが中学生になると、世間で「オタク」という言葉が流行りました。今でこそ、「オタク」は一つのことに夢中になること、専門家的な意味でも使われますが、当時は、今より「暗い」「気持ち悪い」というイメージが強く、近寄り難い存在でした。そのため、そう言われるのがいやで、声優になるのが夢だと言えず、隠していました。そうしているうちに、いつのまにか夢も忘れていってしまいました。
③ 高校時代
再び声優という職業との出会いがありました。友人からある曲を紹介されたのですが、その曲は声優が歌っていることを知り、忘れていた声優になりたいという夢がよみがえりました。
しかし、両親にそれを話すと反対されました。その後も一生懸命話しましたが、なかなか理解は得られませんでした。それでも必死に話して、専門学校に進みました。住んでいた神戸から東京に出て劇団に入ろうという時に、阪神淡路大震災がありました。長男でもあることから東京行きを反対され、また夢から離れそうになりましたが、意を決して東京に出ました。
④ 下積み時代
一生懸命、努力して、やっと21歳で初仕事をもらいました。でも、なかなか声優の仕事だけでは生活ができず、親を納得させることには至らないと思っていました。ところがある時、地元の知人から、父が周りの人に、息子である私が声優をしていることを誇らしく話していたよ、ということを聞き、親にも喜んでもらえることを知って、さらに努力できるようになりました。
⑤ 親となって
レギュラーを何本か任されるようになって、やっと一人前になったスタートだね。」と言われました。
自分も家庭をもち、子供が生まれると、親という立場になって考えるようになりました。皆さんは、将来なりたい夢はもっていますか。(たくさんの子たちが手を挙げると)どんな夢?(「ピアニスト」等々)。自分の子供も、私の仕事である声優を目指している、と言ってくれました。自分の夢が息子の夢にもつながるんだな、と実感し嬉しい気持ちになりました。そこで思ったことは、君たちも、親にたくさん夢について話してほしいな、ということです。また、保護者の皆様も、今のうちに子供たちとたくさん夢について話してほしいなと思います。そうすれば、夢は自分だけのものではなくなって、家族や仲間に広がっていき、頑張る力となっていきます。
そして、夢をもって取り組む仕事は、どれもきっと誰かのためになっていくと思います。これからも、皆さんは夢に向かって頑張ってください。
「2020/09/14up]